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M&Aにおけるレバレッジド・バイアウト(LBO)とは?

レバレッジド・バイアウト(LBO)(ふりがな: ればれっじど・ばいあうと、英語: Leveraged Buyout、仏語: Rachat par effet de levier)とは、企業買収の際に、買収対象企業の資産や将来のキャッシュフローを担保にして、借入金を活用して資金を調達し、買収を実行する手法です。LBOでは、自己資本を抑え、借入金によるレバレッジ効果を活用して、少ない資金で大規模な買収を行うことが特徴です。

レバレッジド・バイアウトの役割と重要性

レバレッジド・バイアウト(LBO)は、少ない自己資金で大規模な買収を実現できる手法として、特にプライベートエクイティ(PE)ファンドなどで広く利用されています。LBOでは、買収のための資金の大部分を借入金で賄い、買収後に対象企業のキャッシュフローや資産を使って返済を行います。このため、買収のリスクを買収対象企業自体に移転させることが可能であり、買収側にとっては高いリターンを期待できる手法です。

LBOの特徴は、企業の将来性を重視した取引であることです。買収側は、対象企業のキャッシュフローが安定しており、借入金を返済できる能力があると判断した場合に、LBOを実施します。適切なレバレッジをかけることで、投資リターンを最大化し、短期間での株式公開(IPO)や他の企業への売却によって利益を確定することが一般的です。

レバレッジド・バイアウトの歴史と由来

LBOという手法は、1980年代にアメリカで急速に普及しました。この時期、プライベートエクイティファンドが成長し、企業買収の新しい手法としてLBOが注目されました。レバレッジド・バイアウトの魅力は、自己資本の投入を最小限に抑えつつ、高いレバレッジをかけて大規模な買収を可能にすることです。著名な事例として、1989年のRJRナビスコのLBOが挙げられ、この取引は当時、世界最大のLBOとして話題を集めました。

その後、LBOは世界中で利用されるようになり、特にM&Aの手法として企業の買収戦略に組み込まれるようになりました。プライベートエクイティ業界では、企業の買収後に経営を改善し、キャッシュフローを強化することで、投資家への高いリターンを実現するためにLBOが活用されるケースが増加しました。

現在のレバレッジド・バイアウトの使われ方

現在、LBOはプライベートエクイティファンドだけでなく、大企業や戦略的買収を狙う企業でも使用される一般的な手法となっています。以下は、LBOが使われる具体的なケースです。

1. プライベートエクイティによる買収

プライベートエクイティファンドは、LBOを利用して企業を買収し、経営改善やリストラを行うことで企業価値を高めます。その後、株式公開(IPO)や他の企業に売却することで、投資家に対する高いリターンを狙います。PEファンドは、LBOを通じて買収対象企業のリスクを管理しつつ、少ない自己資金で効率的に投資を行います。

2. 戦略的M&Aの手法として

LBOは、既存の事業とのシナジー効果を見込んで企業を買収する際にも利用されます。例えば、競合企業を買収することで市場シェアを拡大したり、新規事業への参入を図る場合に、LBOを活用して効率的に資金を調達し、買収を実行することができます。この場合、買収対象企業のキャッシュフローを使って借入金の返済を行い、負担を軽減します。

3. 経営者による企業買収(MBO)

LBOの一形態として、経営者自身が自社の株式を取得するMBO(マネジメント・バイアウト)があります。経営者が自社を買収し、独立した経営権を持つために、LBOを活用して必要な資金を調達します。MBOでは、経営陣が自社の将来に対する強い信念を持って買収を行うため、企業の安定的な成長が期待されます。

レバレッジド・バイアウトのリスクと成功事例

LBOは大きなリターンを期待できる手法ですが、同時に高いリスクも伴います。買収資金の大部分を借入金で賄うため、対象企業のキャッシュフローが予想よりも悪化した場合、返済が困難になり、最終的には破産や事業の失敗につながるリスクがあります。また、LBO後の企業運営が適切に行われない場合、過剰な負債が企業の成長を阻害することもあります。

一方、LBOの成功事例としては、ヘルスケア企業やテクノロジー企業などで、経営改善を通じて企業価値を大幅に向上させたケースがあります。例えば、プライベートエクイティファンドが企業を買収し、経営の効率化や新しい市場への進出を促進した結果、企業が成長し、高いリターンを実現したことがあります。

レバレッジド・バイアウトの未来

LBOは、今後もプライベートエクイティファンドや大手企業による買収手段として重要な役割を果たし続けるでしょう。特に、低金利環境が続く中で、借入コストが低いことがLBOの魅力をさらに高めています。さらに、AIやデジタル技術を活用した経営改善手法が発展する中で、買収後の企業価値向上がより効率的に行われるようになり、LBOの成功率も向上する可能性があります。

ただし、経済環境や金融市場の変動によってLBOのリスクは依然として存在します。今後は、より高度なリスク管理と戦略的な経営改善が求められ、慎重な買収計画が必要になるでしょう。それでも、適切に実施されたLBOは、M&Aの世界で引き続き強力なツールとして活用されることが期待されています。



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